サマリー
◆2013年5月の全国CPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は、前年比0.0%となり、市場コンセンサス(同0.0%)通りの結果であった。下落幅縮小の主な要因は、エネルギーの寄与が拡大したこと。これは、関西電力、九州電力の値上げを受けて「電気代」が上昇したことに加えて、前年の裏の影響で「灯油」の上昇幅が拡大、「ガソリン」の下落幅が縮小したため。
◆2013年6月の東京都区部コアCPIは、前年比+0.2%となり、2ヶ月連続の上昇となった。5月に下落幅が大きく縮小した耐久財の下落幅が再び拡大する一方で、エネルギーの押上げ寄与が拡大したため。東京都区部コアCPIを踏まえると、2013年6月の全国コアCPIは前年比+0.4%と、2012年4月以来の前年比プラスに転じる見込みである。
◆先行きについては、全国コアCPIは2013年6月には前年比プラスに転じ、その後もプラス圏での推移が続くとみている。コアCPIの押し上げが続いているエネルギーは、前年の裏の効果と円安による影響で、当面押し上げが続く見込み。また、エネルギー以外の物価に関しても、食品などで円安による粗原材料価格の上昇が物価上昇圧力となるなか、GDPギャップの改善に伴って基調的に下落幅を縮小していく公算である。ただし、当面コアCPIは前年比+1%を下回る、緩やかな上昇が続く見込みであり、日銀が目標とする前年比+2%の物価上昇の達成は困難な状況が続くとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月全国消費者物価
米価格の上昇が他の食料品や外食など関連品目の価格にも波及
2025年06月20日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
-
2025年4月機械受注
民需(船電除く)は減少し、コンセンサス通りの結果だった
2025年06月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日