サマリー
◆2013年1月の全国CPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は、前年比▲0.2%と下落幅は前月から変わらず、市場コンセンサス(同▲0.2%)に沿った内容となった。内訳を見ると、昨年1月の基本銘柄変更に伴って押し上げ要因となってきた「ルームエアコン」の影響が剥落したことで、耐久財のマイナス寄与が拡大する一方で、ガソリン価格の上昇によってエネルギーの寄与が拡大した。
◆市況要因を除いた物価動向を表す「食料(除く酒類)及びエネルギーを除く総合、以下コアコアCPI」は前年比▲0.7%と、依然マイナス圏での推移が続いており、物価は緩やかなデフレ傾向が続いている。
◆全国コアCPIの先行きは、2月に一旦は下落幅が拡大する見込みであるものの、その後は徐々に減少幅を縮小させる見込みである。エネルギーの上昇が継続的にコアCPIを押し上げる構造が続いているが、エネルギーに関しては輸入価格の上昇が即時に販売価格に転嫁されるため、足下の円安による輸入価格の上昇を受けて、当面CPIの押し上げに作用する見込みである。
◆また、円安による輸入物価の上昇を受け、粗原材料の多くで、春先以降値上げの動きが広がる見込みである。川上の素材価格の上昇は即座に最終製品に転嫁されるわけではなく、需給との見合いで価格転嫁させることとなるが、このところ改善が足踏みとなっているGDPギャップは景気拡大に伴って徐々に改善していく見込みであり、物価の下落幅はラグを伴いつつも基調的に縮小していくとみられる。コアCPIは2013年半ば頃には前年比プラスとなると大和総研では予想している。
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