サマリー
◆2012年10月の貿易統計では、輸出金額が前年比▲6.5%と5ヶ月連続のマイナスとなり、市場コンセンサス(同▲4.9%)を下回った。輸出金額の季節調整値は前月比▲2.8%と2ヶ月ぶりの減少に転じており、輸出の減少傾向が継続していることを確認する内容であった。これまで、欧州向け、アジア向け輸出が弱含む中、米国向けが輸出全体を下支えする構図が続いてきたが、このところ米国向け輸出に関しても減速感を強めている。
◆日中関係の悪化により減少が懸念されていた中国向け輸出に関しては、輸出金額が前年比▲11.6%と、9月(同▲14.1%)から減少幅が縮小した。化学製品(同+3.9%)が13ヶ月ぶりの増加に転じたことに加え、対中輸出に占めるウエイトの高い一般機械(同▲20.4%)、電気機器(同▲2.0%)の減少幅が縮小したことが寄与した。ただし、輸送用機器(同▲54.1%)では、完成車を中心に顕著に減少幅が拡大しており(自動車:同▲82.0%)、日中関係の悪化が、相当程度中国向け輸出を押し下げた模様。
◆輸出は減少傾向が続いているが、メインシナリオとしては2013年以降徐々に回復に向かうと考えている。欧州経済は停滞が続くとみられることから、欧州向け輸出は当面低調に推移する見込みだが、緩やかな景気拡大が続く米国向け輸出の底割れは回避され、底堅く推移すると考えている。また中国向けに関しても、景気の底打ちに伴って、徐々に持ち直しに向かうと見込んでいる。ただし、日中関係の悪化が中国向け輸出を下押しするリスクには、引き続き留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月全国消費者物価
米価格の上昇が他の食料品や外食など関連品目の価格にも波及
2025年06月20日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
-
2025年4月機械受注
民需(船電除く)は減少し、コンセンサス通りの結果だった
2025年06月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日