7月機械受注

予想を上回るも基調はそれほど強くない

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2012年09月12日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

【概況】単月でみれば良い結果だが、弱含み基調は変わらず:7月の機械受注では、国内設備投資の先行指標である民需(除く船舶・電力)は、前月比+4.6%と2ヶ月連続の増加となった。市場コンセンサス(同+2.0%)を上回ったこともあり、単月の結果だけ見ればポジティブな結果であったと判断できる。ただし、受注金額の水準は依然低く、3ヶ月移動平均でみても減少が続いている。7月の結果を以て、このところの弱含み基調が転換したと判断できるほどの力強さはなかったといえよう。

【受注の主要内訳】製造業の増加が押し上げ:業種別の内訳を見ると、製造業は前月比+12.0%と大幅増となる一方、非製造業(船舶・電力を除く)は同▲2.1%となった。製造業は15業種中11業種で前月から増加、非製造業は12業種中5業種が増加となっており、製造業での改善が押し上げ要因となった。外需は前月比+3.0%と2ヶ月ぶりの増加となったものの、主要輸出先である中国の景気減速を背景に、均してみれば減速傾向が続いているといえる。

【今後の見通し】見通し達成のハードルはそれほど高くない:内閣府公表の7-9月期見通しによると、民需(除く船舶・電力)は前期比▲1.2%と2四半期連続の減少を見込んでいる。8、9月に前月比▲3.8%ずつ減少しても達成可能な水準であり、達成のハードルはそれほど高くない。また、7-9月期が前期比増加となるためには、同▲2.5%ずつの減少でよいため、こちらも十分達成可能な水準だが、7月に大幅増となった製造業で、8月に反動減が出る可能性には注意が必要であろう。

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