サマリー
◆【概況】一時的な弱含みの兆候:6月の機械受注統計は、前月からの反動で内需が増加した一方で、欧州財政問題が足枷となっている外需が落ち込んだ。国内の機械設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は、前月比+5.6%と市場コンセンサス(同+12.0%)を下回った。4-6月期の実績値は、前期比で▲4.1%と2四半期ぶりのマイナスとなった。基調として一時的な弱含みの兆候が見られ、民需の回復は、想定していた以上に緩慢なものとなる可能性が高い。
◆【受注の主要内訳】製造業は素材産業を中心に落ち込む:需要者別では、製造業が前月比▲2.9%、非製造業(船舶・電力を除く)は同+2.6%と若干弱い。円高や海外経済の減速から、このところ製造業が弱含んで推移している。製造業の中でも、特に素材産業の落ち込みが目立つ。他方、加工産業は堅調な推移となっている。
◆【今後の見通し】7-9月期予想は前期比▲1.2%と弱い:概ね企業の設備過剰感は和らいでいるが、海外経済の減速が、企業の設備投資に対する姿勢を弱めている要因のようだ。足下では、輸出産業が特に下押し要因となっているわけではないため、米国や新興国向けが中心となり輸出が徐々に持ち直していけば、今後も同産業が設備投資の回復へ寄与していくものと考えている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日