サマリー
◆東日本大震災以降、海外経済の減速と資源高を受けて貿易収支の赤字基調が続いており、中長期的に経常収支の赤字化も懸念されている。しかし、日本の所得収支とサービス収支という貿易外収支の黒字幅は拡大の余地があり、貿易収支の赤字は必ずしも経常赤字にはつながらない。
◆ルクセンブルク、スイス、フランス等の事例を検証すれば、金融サービスや仲介貿易、海外投資などによって、貿易収支赤字下でも貿易外収支の黒字幅を拡大させることは可能である。また、イギリスの歴史を見ると、戦前には海外投資と海運収入、戦後には海外投資と金融サービスによって貿易外収支黒字を増加させ、貿易収支の赤字額を埋めてきたことがわかる。
◆経常収支の赤字化を憂う意見は、暗黙のうちに産業構造が不変であり、貿易外収支が変化しないことを仮定している。しかし、日本には貿易外収支を拡大する余地が残されている。諸外国の事例から学び、中長期的にサービス収支、所得収支から成る貿易外収支の黒字を増加させていくことが重要である。貿易外収支の黒字幅を拡大していくことで、貿易収支の赤字基調が継続した場合でも、経常収支の黒字を維持していくことが可能となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年1月貿易統計
米国関税の影響続くも、AI・データセンター需要が輸出をけん引
2026年02月18日
-
経済指標の要点(1/17~2/17発表統計)
2026年02月17日
-
2025年10-12月期GDP(1次速報)
民需の増加で2四半期ぶりのプラス成長となるも輸出の減少が続く
2026年02月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日

