サマリー
◆東日本大震災以降、海外経済の減速と資源高を受けて貿易収支の赤字基調が続いており、中長期的に経常収支の赤字化も懸念されている。しかし、日本の所得収支とサービス収支という貿易外収支の黒字幅は拡大の余地があり、貿易収支の赤字は必ずしも経常赤字にはつながらない。
◆ルクセンブルク、スイス、フランス等の事例を検証すれば、金融サービスや仲介貿易、海外投資などによって、貿易収支赤字下でも貿易外収支の黒字幅を拡大させることは可能である。また、イギリスの歴史を見ると、戦前には海外投資と海運収入、戦後には海外投資と金融サービスによって貿易外収支黒字を増加させ、貿易収支の赤字額を埋めてきたことがわかる。
◆経常収支の赤字化を憂う意見は、暗黙のうちに産業構造が不変であり、貿易外収支が変化しないことを仮定している。しかし、日本には貿易外収支を拡大する余地が残されている。諸外国の事例から学び、中長期的にサービス収支、所得収支から成る貿易外収支の黒字を増加させていくことが重要である。貿易外収支の黒字幅を拡大していくことで、貿易収支の赤字基調が継続した場合でも、経常収支の黒字を維持していくことが可能となるだろう。
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