高度・グローバル人材の育成と経済

『大和総研調査季報』 2012年新春号(Vol.5)掲載

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2012年04月02日

  • 岡野 武志

サマリー

海外進出企業の現地化に伴い、グローバル人材は不足している。情報通信技術(ICT)や科学技術の発展に伴い、人材の高度化も求められている。しかし、高等教育のコスト負担や有効性について十分な議論がなく、高度・グローバル人材が適正なリターンを受ける環境整備も遅れている。高度・グローバルな外国人材の受け入れ・活用の面でも不十分な点がみられる。一方、高等教育への進学者が増加し、高等教育の量的拡大が進む中で、質の確保も重要な課題となる。また、高等教育修了者が有効に活用されず、専門性の高い人材の輩出が停滞する懸念もある。

若者が高度化・グローバル化に向かうことには、コストとリスクが伴っている実態があり、努力の成果が税や社会保障などの負担増で減殺される不安もある。一方、社会人が就職後に教育を受ける意識や環境が十分でなく、高等教育に就学する社会人の比率は低い。幅広い国民が高度化・グローバル化に向かえる環境を用意し、適正なリターンを得る社会システムを整備することで、国民全体の水準を高めることが望まれる。民主主義における経済や社会では、国民一人ひとりの努力が発展の原動力であり、努力が報われる社会づくりが重要になる。

大和総研調査季報 2024年秋季号Vol.56

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