サマリー
◆ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴って、2023年にかけて欧州の景気に対する見方は一段と慎重になっている。高インフレやエネルギー供給への懸念が、企業の生産活動や家計の消費行動に重くのしかかる。金利上昇も加わり、企業の景況感(特に先行き)や消費者マインドの悪化傾向に歯止めが掛からず、積極的な投資や消費は想定しづらい。9月にECBが示した景気見通し、すなわち2022年後半から2023年1-3月期までほぼゼロ成長が、現時点でのベストシナリオかもしれない。
◆景気に配慮しながら、EUは、これまでエネルギーの脱ロシアを強く推進してきたが、西側のロシアへの経済制裁強化とそれに対するロシアの報復が相まって、エネルギー供給不安やガス価格の高騰に直面している。また、新たに誕生するイタリアの新政権が、ドラギ前政権と同様にEUとの協調路線を継続するか、注目される。
◆本格的な冬と寒さを前に、各国政府はそれぞれの事情に応じて、家計や企業向けの支援策に力を入れている。政府の関与(肩代わり)が強ければインフレ率は短期的に抑制されるかもしれないが、当然ながら財政負担は大きくなる。財政的に余裕のある国は国民負担を軽減でき、世論の反発を回避することが可能になるだろう。だが、英国のように、世論の歓心を得るために大盤振る舞いになれば、インフレ率鈍化は進まず、財政赤字の膨張は過度な金利上昇を招く恐れがある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 利上げ後、状況が一変
原油価格下落で追加利上げは様子見/スターマー首相辞任後の注目点
2026年06月23日
-
欧州経済見通し 家計主導の景況感悪化
製造業では駆け込み需要が下支え/英国では政治不安がリスクに
2026年05月27日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
最新のレポート・コラム
-
2025年度の個人向け社債市場の動向
発行額は過去最高に。今後は発行体の裾野が広がるかが注目点
2026年07月10日
-
外為法審査による買収案件中止とその示唆
外為法に基づく投資審査制度と判断のポイント
2026年07月10日
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
米国:AI関連投資の持続性を左右する3つの要因
①ハイパースケーラーの収益化志向、②「循環資金」が内包するリスク、③レバレッジ型ETFによる変動拡大
2026年07月09日
-
実務手引き「社債発行のガイドブック」— 社債発行への入り口
2026年07月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

