欧州が直面するエネルギー安全保障問題

~コロナ禍とウクライナ侵攻を経て変わる世界~『大和総研調査季報』2022年夏季号(Vol.47)掲載

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2022年07月20日

サマリー

2020 年のコロナ禍の初期段階における医療品不足、そしてコロナ禍からの回復過程で生じた半導体等の部品不足といったサプライチェーン問題に直面した欧州各国は、海外依存度の高さを改めて認識し、戦略的物資に関しては自国内・域内で調達する必要性を強く感じた。ただ、企業レベルで見ると、グローバル・サプライチェーンの見直しや調達先の変更を計画している企業でも、自国内・EU域内への回帰を意図している割合は少数派にすぎない。

さらに、2022 年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が生じたことで、EUはサプライチェーンの混乱だけにとどまらず、エネルギー危機のリスクに直面することになった。ロシアへの経済制裁を段階的に強化するのと同時に、ロシアからの報復措置、つまりエネルギー供給を絞られる事態に対して、EUは、短期的・中長期的に脱ロシアを進める必要性に迫られている。

2023 年にかけて景気減速が強まる中で、国民生活のコスト増加や、EUの成長戦略として重要な脱炭素化の動きとの兼ね合い等、様々な課題とバランスを取らなければならない複雑な状況が予想される。

大和総研調査季報 2024年春季号Vol.54

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