サマリー
◆2022年6月27日、西側諸国の報道機関は、5月27日に利払い期日を迎えた2本の外貨建てロシア国債の猶予期間が失効し、ロシアが1918年以来となる対外債務のデフォルトに陥ったと報じた。一方、ロシア側はこの報道を真っ向から否定している。
◆ロシア財務省は、返済義務を履行するため5月20日にはロシア連邦証券保管振替機関(NSD)に利払い資金を送金した。さらにNSDは、ロシア国債の外国人保有者のための仲介機関にあたる、国際証券決済機関のユーロクリアに5月24日にドルを、5月25日にユーロの支払いを期限内に送っている。ただ資金はコンプライアンス(法令順守)上の理由でユーロクリアの判断により、最終投資家へ振り込まれなかった。このため、ロシア政府は再三にわたり、返済能力も意思もあるのに、西側諸国の制裁により人為的なデフォルトに陥らされそうになっていると発言している。
◆金融市場は既に数カ月にわたり、デフォルトは時間の問題とみてきただけに、6月27日のデフォルト報道は、「象徴的なもの」との見方が強い。ロシア国債は侵攻直後に暴落し、この数カ月間、デフォルトが近いことを示唆する水準で取引されているため、市場の反応もほとんど見られなかった。一方、ロシア政府は今回のデフォルト騒動に徹底抗戦の構えを見せているのが実情である。ウクライナ紛争中のロシア政府に対して、海外投資家が今後、法廷闘争を起こしたとしても勝てる確率は低いため、当面の間、デフォルト騒動に決着がつけられることは難しいと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 利上げ後、状況が一変
原油価格下落で追加利上げは様子見/スターマー首相辞任後の注目点
2026年06月23日
-
欧州経済見通し 家計主導の景況感悪化
製造業では駆け込み需要が下支え/英国では政治不安がリスクに
2026年05月27日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

