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ロシアのウクライナ侵攻によるフランス大統領選への影響

マクロン大統領の再選で、EUのリーダーはドイツからフランスに

2022年04月01日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆3月25日夜にフランス大統領選の立候補受付が締め切られ、12候補が公式に出馬した。通常のフランス大統領選は国内問題が主要争点となるものの、今回はロシアのウクライナ侵攻を受けて、選挙キャンペーンのスタイルやアプローチも全て変更されている。マクロン大統領のライバル候補は、ウクライナ侵攻を巡り数カ月もその前線に立ってきた大統領との厳しい戦いを強いられている。

◆挑発的な言動で知られるジャーナリストで、2021年秋に早々と出馬を表明した反イスラム主義を掲げるゼムール候補は、ロシアの侵攻後、非難表明までに時間がかかったことから、支持率を大きく下げている。ただし、国民連合党首のルペン候補は長きにわたりプーチン大統領を称賛してきたにもかかわらず、世論調査ではマクロン大統領に次ぐ19%の支持率を獲得している。フランスのNATO脱退を主張しつつも、侵攻後の早い時点でプーチン大統領を非難したことが功を奏した。

◆ルペン候補支持者の間での楽観的なムードは、同候補が慣れ親しんだ移民よりも、一般市民の生活費危機といったテーマを、選挙運動の中心に切り替えたことも功を奏している。ロシアのウクライナ侵攻を契機に燃料や電気、ガス料金が上昇し、トラックやタクシー運転手、その他の道路利用者による抗議活動が地方で続く中、ルペン候補はエネルギー料金にかかる付加価値税(日本の消費税に該当)の税率を20%から5.5%に引き下げると公約している。ただマクロン大統領の支持率はウクライナ侵攻によって上昇しており、現時点では決選投票での勝利が確実視されている。ブレグジットで英国の地位が下がり、ドイツのメルケル首相が引退した今、マクロン大統領は再選によって、自身がEUの中心舞台に踊り出ることができると確信している。

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