サマリー
◆2020年7月21日より3日間にわたりロンドンで行われたEUとの将来的な関係性を巡る協定交渉は、膠着打開において、非常に重要な意味を持つと一時はみられていた。しかし、結局のところほとんど進展がないまま終了している。EU高官は協議が堂々巡りになっているとの不満を示し、英国首相官邸は多くの重要事項に関し依然として著しい相違が残っていることを示唆するなど収束する気配が見えない。
◆英国政府は、EUとの将来的な関係性を巡る協定交渉開始以来、金融サービスにかかる同等性評価を求めるという姿勢を貫いてきた。しかし、直近の言動からは、同等性獲得よりも、EU規制からの乖離によるメリットを選ぶという政府方針が示唆されており、英国の金融サービス企業には離脱後、EU市場へのアクセスに関し、規制遵守コストが増大する可能性が高まっている。
◆スナーク財務相は7月8日に議会で経済刺激策の概要を発表した。財務相が発表したこれらすべての施策は財源が問題であり、ジョンソン首相が先立って発表したインフラ事業パッケージの56億ポンドを含めると総額で最大約300億ポンドに達する。これら経済刺激策の財源については、秋の予算で明らかにされるものとみられるが、増税や政府借り入れの増大が予想されている。ただ、大量失業発生の社会的損失を吸収するには大型の経済対策が必要と財務省は判断したとみられている。ここ数カ月、英国政府の介入措置は大掛かりで費用のかかるものが続いているが、共通したテーマは大量失業発生の回避である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日