欧州経済見通し まだら模様の景気回復
ロックダウン緩和を背景に5月は急反発したが先行き不透明感は強い
2020年07月22日
サマリー
◆ユーロ圏では新型コロナウイルス感染の抑制を目的とした都市封鎖(ロックダウン)が段階的に解除されており、5月の小売売上高、鉱工業生産、輸出はそろって前月比で大幅反発した。景況感の改善傾向は景気の持ち直しが6月以降も続くことを示唆しているが、先行き不透明感は引き続き強い。特に外需に関しては、世界全体で新規感染がまだ拡大傾向にあることが懸念材料である。また、ユーロ圏でも感染再燃リスクへの警戒は怠れず、企業業績や雇用に対する不安は大きい。ペントアップ・ディマンド一巡後のユーロ圏の消費はより緩やかな回復ペースとなろう。
◆英国ではユーロ圏よりも1カ月ほど遅れてロックダウンの段階的な解除が進められている。5月までの月次GDP統計によるとサービス産業、中でもホテル・外食産業の落ち込みが非常に大きい。7月8日に発表された300億ポンドの追加経済措置ではホテル・外食産業に重点を置いた減税措置などが盛り込まれ、一定の消費刺激に貢献すると期待されるが、景気回復には時間を要すると見込まれる。
◆ユーロ圏の成長率は2020年▲8.0%、2021年+4.0%、英国の成長率は2020年▲10.2%、2021年+4.4%と予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月26日
銀行等の業務範囲・5%ルールなどの見直し
銀行制度等WG報告
-
2021年01月25日
2021年のASEAN5経済見通し
景気回復は年後半に加速。懸念が多いタイとフィリピン。
-
2021年01月25日
税金読本(16-2)税務署への財産債務の申告と国外転出時みなし譲渡益課税
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月27日
多様性を受容する社会は、きっと創造的で成長性の高いものになる
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く