サマリー
◆ユーロ圏では新型コロナウイルス感染の抑制を目的とした都市封鎖(ロックダウン)が段階的に解除されており、5月の小売売上高、鉱工業生産、輸出はそろって前月比で大幅反発した。景況感の改善傾向は景気の持ち直しが6月以降も続くことを示唆しているが、先行き不透明感は引き続き強い。特に外需に関しては、世界全体で新規感染がまだ拡大傾向にあることが懸念材料である。また、ユーロ圏でも感染再燃リスクへの警戒は怠れず、企業業績や雇用に対する不安は大きい。ペントアップ・ディマンド一巡後のユーロ圏の消費はより緩やかな回復ペースとなろう。
◆英国ではユーロ圏よりも1カ月ほど遅れてロックダウンの段階的な解除が進められている。5月までの月次GDP統計によるとサービス産業、中でもホテル・外食産業の落ち込みが非常に大きい。7月8日に発表された300億ポンドの追加経済措置ではホテル・外食産業に重点を置いた減税措置などが盛り込まれ、一定の消費刺激に貢献すると期待されるが、景気回復には時間を要すると見込まれる。
◆ユーロ圏の成長率は2020年▲8.0%、2021年+4.0%、英国の成長率は2020年▲10.2%、2021年+4.4%と予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日