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新型コロナウイルスで再び試される欧州の連帯

前例のない規模の休業補償の財源は?

2020年04月28日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆新型コロナウイルスによるロックダウン措置から通常生活に完全復帰するには、安全かつ効果的な治療法とワクチンの開発が必須となる。2桁を超す種類の既存薬が臨床試験中だが、特効薬になる可能性は低いとみられている。リソースをつぎ込み、治験や規制上の手続きを迅速に進めたとしても、新薬やワクチンの開発には12ヵ月~18ヵ月はかかる。4月22日の定例会見で英国のラーブ外務相は年内に通常の社会生活に復帰する可能性は非常に低いとし、何かしらの制限措置が少なくとも年末まで継続される見通しを明らかにしている。

◆ロックダウンにより、甚大な被害にあった欧州諸国の多くは休業補償スキームを導入しており、その支払いを順次スタートしている。英国政府は4月20日から、新型コロナウイルスで一時帰休の従業員の給与を最大8割給付する、コロナウイルス雇用定着スキームの申請受付を開始した。その他諸国の休業補償も一時帰休前の給与の6割~8割を補償する手厚い内容が目立つ。ただ前例のない規模の支援パッケージの裏返しとして、急速な財源の枯渇リスクが取り沙汰されている。

◆4月23日のEU首脳会議では、4月9日のユーログループで合意した、総額5,400億ユーロの支援策3案を承認した。6月1日までに、EU加盟国政府には欧州安定メカニズム(ESM)を活用するパンデミック危機支援スキームを、企業には欧州投資銀行(EIB)のスキーム、さらに従業員には失業リスク緩和緊急支援(SURE)を通じた、支援が開始されることとなる。ただ、最も注目されていた復興基金に関しては、その規模と範囲で折り合えず、次回協議以降に棚上げとなっている。

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