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2019年英国総選挙のリスクシナリオ③

EU離脱後、英国金融セクターはEU規制と乖離して独自の道へ

2019年12月11日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆選挙前最後の週末に世論調査の結果が相次いで発表されたが、保守党のリードの状況に変化はなく、2位の労働党との差は8%ポイント~15%ポイントである。ただここにきて労働党が追い上げており、保守党との差が縮小しつつあることが分かる。差が縮まった理由として、世論調査における保守党の快進撃に危機感を持った労働党が、戦術的投票(タクティカルボート)を呼び掛けており、その効果がここにきて表れていることが挙げられる。

◆ハングパーラメントとなった場合でも、政権担当与党が保守党と労働党のどちらになるかによって、今後の方向性が大きく異なってくる。その中でも最悪のシナリオとみられているのが、保守党が民主統一党(DUP)やブレグジット党との協力の下、政権与党の座に就く場合であろう。DUPやブレグジット党はジョンソン首相の新離脱協定案の受け入れを拒否しているため、ブレグジット実現を優先するジョンソン首相が、協定案批准を断念し合意なき離脱に突き進む可能性がある。

◆保守党が単独過半数を確保してブレグジットを実現した場合、シティが最も注目しているのは、移行期間が終了する2020年12月末までに締結が求められている、英・EU間での通商協定の内容であろう。通商協定の中に、同等性認定や相互認証のような金融サービスに関する協定が含まれないと、EU内金融機関の英国証券取引所へのアクセスや、ユーロ建ての金融商品取引などが継続できなくなるため、英国に甚大な影響を及ぼす可能性がある。そうなれば、英国金融セクターは、EU規制と乖離して独自の道を歩まざるを得ないことが予想される。

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