サマリー
◆5月23-26日にEU28カ国で実施された欧州議会選挙では、EU統合の推進役を担ってきた中道右派と中道左派の二つの陣営が大きく議席を減らし、欧州議会が発足した1979年以降で初めて過半数を割り込んだ。代わって議席を増やしたのは、EUに懐疑的な右派と、親EUのリベラル派と環境政党である。欧州議会は多極化し、その中でEU懐疑派は極右から極左までの全ての政党が結集しても3分の1には届かないとみられる。
◆親EU派とEU懐疑派はどちらもEU改革の必要性を訴えているが、親EU派が欧州統合の深化で問題解決を図ろうとするのに対し、EU懐疑派はEUの権限を必要最低限に狭め、各国の主権拡大を目指している点が全く異なる。親EU派が結束すれば欧州議会の過半数を確保できるが、環境政策や通商政策など意見のすり合わせが難しい分野もあり、協議に時間がかかると予想される。協議が難航すればEU懐疑派に付け入るすきを与えることにもなろう。親EU派が結束できるかの最初の試金石は、次の欧州委員会委員長の承認手続きになると考えられる。
◆EU離脱(ブレグジット)を目指しながらまだ果たせていない英国では、EU強硬離脱を掲げるブレグジット党が得票率30.8%で第1党となった一方、与党の保守党は得票率わずか8.9%で第5党となった。この結果は、メイ首相の後任に強硬離脱派を選ぶべきとの主張を後押しする可能性がある。ただし、EU残留派である自由民主党、緑の党などの得票率を合計すると、強硬離脱派の得票率を上回る。保守党と労働党という「二大政党」は明確に否定されたものの、EU強硬離脱とEU残留に対する国民の意見の分断が確認されただけで、ブレグジットをどう進めるべきなのか答えは示されていない。
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