サマリー
◆3月21日のEUサミット協議終了後、トゥスク大統領とユンケル欧州委員会委員長は記者会見を開き、英国のEU離脱期限の延長の要望に2つのオプションで応じたことを発表した。1つ目のオプションは、EU首脳は、メイ首相の離脱合意案が来週可決されるという条件で、英国の離脱期限を5月22日まで延長することである。そして2つ目のオプションは、離脱合意案が否決された場合、離脱期限を4月12日とすることである。その場合(離脱合意案が否決された時)、英国は4月12日までに今後の方針について、EU理事会に通知することが求められる。
◆EUの中でもフランスのマクロン大統領は、離脱延長反対派の筆頭といわれている。延長の容認を最後まで渋り、離脱すべきと強硬離脱派と同様の主張を崩さなかったという。ドイツのメルケル首相が、合意なき離脱を回避するためEUはありとあらゆる手を使うべきだとし、後世に合意なき離脱による混乱の責任者として名前を残すべきではないと説得したという。
◆メイ首相は、英国議会は非常に明確な選択肢に直面していると述べ、国民投票から3年近く経つにもかかわらず、欧州議会選に参加することは受け入れがたいとの認識を改めて示し、合意のもとに離脱するべきだと述べた。その上でリスボン条約50条行使無効化を求める署名が200万を超えたとの報道を受けても、国民投票の結果を尊重すべきとの持論を改めて表明した。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

