サマリー
◆英国コックス法務長官は3月5日夜、バックストップが一時的な措置であることに関してEU側との協議を行ったものの、その会合は離脱協定に沿った明確な解決策が見出せないまま終了した。英国側はバックストップに関して新たな2つの提案をしたとされているものの、EU側はこれらを却下したという。
◆3月7日、EU側は英国に対して、バックストップに関して妥当な計画を48時間以内に提示すれば、今週末に再度検討すると、協議の仕切り直しを促している。ただし、この発言を受け、EUとの協議を行ってきたコックス法務長官は、「英国からの今までの提案は非常に明確なものであり、継続して協議を続ける。」と反論するなど、いまだ隔たりが大きい状況が露呈している。EUと英国との温度差を見る限り、3月12日までに意味のある投票での合意は難しいと言わざるを得ない。
◆離脱延長期間についてメイ首相は「6月末頃までの短期間」とのみ言及している。ただ、現時点では5月23日~26日に予定されている欧州議会選当日を越える延長はありえないとする論調も少なくない。ドイツ連邦議会の欧州部門が発表した法律意見書によれば、英国が欧州議会選に参加しないまま離脱期限が5月の選挙当日を過ぎると、英国民や、英国に居住するEU市民が議会選で投票できなくなり、欧州議会選への参加というEU条約で規定される義務から逸脱するとの見解が示されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
4-6月期ユーロ圏GDP かろうじてプラス成長
ドイツ、イタリアがマイナス成長転換も、好調スペインが下支え
2025年07月31日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
欧州経済見通し 輸出環境が一段と悪化
米国の追加関税率は30%に引き上げへ、ユーロ高も輸出の重荷に
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日