サマリー
◆4月18日、英国のメイ首相は会見を行い、6月8日に総選挙を前倒しで行う意向を示した。メイ首相は、ブレグジットに向けた政府の努力を野党が妨害することで、ブレグジットの成功が危ぶまれるとし、前倒し選挙の必要性を強調している。第一野党労働党との支持率の差が大きく開いた今の時期に選挙をするメリットや、離脱関連法案の審議に向け安定多数の確保も、前言を撤回して解散総選挙に踏み切る理由になったといえよう。
◆2回目となるスコットランド独立の住民投票実施を巡るプレッシャーも、解散総選挙を決断した背景に挙げられるだろう。スコットランドは2016年のEU加盟継続の是非を問う国民投票で残留派が多数を占めていただけに、経済的打撃を顧みずハード・ブレグジットを追求していけば、スコットランド独立、EU残留という最も英国政府が避けたいシナリオに直面するといっても過言ではない。
◆メイ首相のブレグジットに対する方向性にはブレがない一方、野党は何とかしてEUとの関係性維持を目指しているようだ。なかでも自由民主党は、6月の総選挙を単一市場に留まるための最後のチャンスととらえている。そのうえでEU加盟継続の是非を問う国民投票の再実施として位置付け、英国のEU離脱を阻むために同党への投票を呼びかけている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

