Brexitショック後の欧州政治・経済

~反主流派の反乱は連鎖するか~『大和総研調査季報』 2017年1月新春号 Vol.25

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2017年03月01日

サマリー

2016年は6月に英国のEU離脱(Brexit)決定という番狂わせが起きた。これは英国とEUの関係の再定義を迫るだけでなく、戦後60年以上推進されてきた欧州統合という理念に疑問を突き付けた政治ショックである。今のところ欧州経済に目立った悪影響はないが、離脱交渉がまだ始まってすらいない中で、企業も家計もBrexitの影響を計りかねている。


Brexitに続き、米国ではトランプ新大統領が選出され、イタリアでは国民投票の否決でレンツィ首相(当時)が辞任に追い込まれた。一連の投票結果は、従来型政治に強い不満や不信感を抱く有権者が大きな勢力になっていることを印象付ける。2017年にオランダ、フランス、ドイツで国政選挙が相次ぐ欧州で、さらなる連鎖反応が起きるか注目される。


2017年は1月にトランプ大統領が就任し、3月末までに英国がEUへの離脱通告を予定している。2016年の番狂わせがどのような政策に反映され、いかなる変化をもたらすかの手掛かりをようやく得られるはずである。これまでの価値観や共通認識が変容する局面に入った可能性があるが、その変化の方向性を冷静に判断することが重要となろう。


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