サマリー
◆混戦が予想されるフランス大統領選は、反EU、移民排斥を掲げる極右政党の国民戦線(FN)党首のマリーヌ・ルペン候補が支持率を伸ばしており、決選投票まで進むのが確実視されている。ルペン党首は決選投票では敗れるとの見方が大勢だが、ブレグジット、米大統領選と予想を覆すイベントが続いただけに市場はナーバスになっている。
◆地域別での支持率を比較するとパリ市ではマクロン元経済相とフィヨン元首相がルペン党首を上回り、パリ市以外の都市部では三者は接戦、農村部ではルペン党首への支持率が35%と圧倒的に高い。非都市部の白人労働者階級がナショナリズムに傾倒し、反移民、反EUの機運が高まる図式はまさにブレグジットの再来を予感させる。
◆ルペン党首は当選した暁には、6ヵ月以内にフランスのEU離脱を巡る国民投票(フレグジット)の実施を掲げており、EU創設の主要国のフランスでも本格的な離脱のスタートラインが引かれることとなる。ルペン党首の主任経済顧問であるベルナール・モノ氏によれば、ルペン党首は、ユーロを離脱し、新通貨を発行し通貨主権を取り戻すことを目指しているという。
◆フランスの国政という観点からは、大統領選同様に議会選の行方も重視されるだろう。ルペン党首とマクロン元経済相のいずれも、6月の議会選で過半数を取れるような政党基盤を持たず、フィヨン元首相を擁立する共和党も議席数増加が予想されてはいるものの、サッチャリズムを彷彿とさせる野心的な公約に党内の分断が目立っている。
◆議会選で過半数を取れるような政党基盤を持たないルペン党首あるいはマクロン元経済相が大統領に就任すれば、議会の多数派が共和党であろうとも、社会党であろうとも、不安定な政治状況が当面続くこととなる。むしろルペン党首の大統領就任よりも、この“何も決められない”状況こそが、投資家には最も敬遠されるリスクシナリオといっても過言ではない。
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