有言実行を目指すトランプ大統領に振り回される欧州首脳

米国の対ロシア制裁解除は間近か?

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2017年02月10日

サマリー

◆英国メイ首相は、2017年1月27日にホワイトハウスで米国トランプ大統領との初めての首脳会談に臨んだ。トランプ大統領は英国との「最も特別な関係」の始まりを協調し、1時間強の会談で両首脳は両国間の深いきずなを認め、トランプ大統領がこれまで時代遅れと批判してきたNATOへのコミットメントも確認した。


◆2017年2月6日時点でトランプ大統領が署名した大統領令は既に20にも上る。1993年のクリントン政権からオバマ政権にかけて、大統領就任100日間で署名した大統領令数は平均で14、それと比較すれば格段に速いペースとなる。しかし、大統領令を精査してみると、単に従来の政策の焼き直しであることも多く、内容が誇張されて報じられているだけともいえる。むしろ、時にはプロレスのリングに上がるなど、ショービジネスやテレビスターとしてメディアの操縦をこなしたトランプ大統領の確信犯的な側面がうかがえる。


◆米ロ会談では冷え込んだ米ロ関係の改善が合意されたが、ドイツをはじめNATOや、EU加盟国は米国が対ロシア経済制裁解除に踏み切るのではないかと警戒を強めている。一方、ドッド・フランク法の規模縮小を命じる大統領令が、欧州でも金融規制緩和を求める動きにつながるとの期待もある。英国はじめ欧州首脳は、従来の常識が通じない新大統領の一挙一動に当面の間、右往左往させられることになりそうである。

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