サマリー
◆2月のユーロ圏の消費者物価指数は、前年同期比でマイナス0.2%と予想外の低下に転落した。ECBのドラギ総裁は、前回の政策理事会後の会見で、原油価格の低迷よりも再度デフレに向かう動きに注視すると発言していたため、さらなる緩和を支持する理事の意向が採用される可能性が高い。
◆注目されるのは、マイナス金利導入国のスイス、スウェーデン、デンマークの中銀総裁からマイナス金利の副作用に関する発言が増加していることであろう。特にスウェーデン中銀が、インフレ目標はそれほど重要でないとの見解を示していることは重要な事実として認識すべきだろう。2016年1月のECB政策理事会後の会見で、インフレ目標を必ず達成すると断言したドラギ総裁とは好対照の態度といえる。
◆欧州の株式市場は2月から比較すると落ち着きを取り戻し、景気後退の不安が一旦沈静化している。ただし欧州銀行の経営不安に関しては払拭された感があるにもかかわらず、未だ銀行株を含む全体の株価は戻ってきていない。これはマイナス金利が有害無益な政策となることへの恐れが認識されつつあり、各国中銀が手詰まり状況に陥ることへの警戒の表れともいえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日