サマリー
◆欧州ではマイナス金利導入以降、見通しの不透明さが影響し、事業会社では特にキャッシュを保持したいインセンティブが強く働いている。本来であれば手元資金を配当に少しでも多く回すことが求められるが、マイナス金利下の欧州では実施から1年以上が経過するにもかかわらず増加する気配は乏しい。金融危機以降のコーポレート・ガバナンス強化の機運を受け、収益力や説明責任に対する投資家からの要求は強くなっており、対応に苦慮する企業も増えている。
◆また欧州では、マイナス金利に突入した日本の事業会社が、コーポレート・ガバナンスとどのように向き合うか、大きな注目を集めている。特に英国では、アベノミクスへの注目もあり、日本でのコーポレート・ガバナンス強化の動向はメディアでも取り上げられている。株主利益の最大化を企業の主目的とする企業風土を持つ英国からみれば、(少数)株主の軽視や不合理な資本計画、株式持ち合いなど不可解でしかない日本企業のコーポレート・ガバナンスに対する評価は、そもそも非常に低いものであった。
◆マイナス金利政策を採用するEU加盟国において、長期的投資が揺らいでいることは重要な事実として認識すべきであろう。マイナス金利国の投資家は、リスクテイクやアロケーションの地理的範囲の拡大などを余儀なくされているため、より高い利回りを求めて短期的な株主還元を求める声が強い。投資家の持続的な関与を促進するため、一定の保有期間を超える株主に多議決権を付与したり(フランスやイタリア)、役員報酬に対する株主の発言権を拡大する(ベルギーやドイツなど)などの施策がとられていることは注目に値する。
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