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難民急増に直面したEU

欧州共通難民政策の見直しが不可避に

2015年09月07日

経済調査部 主席研究員 山崎 加津子

サマリー

◆中東などからEUを目指す難民が急増している。背景にはシリアでの内戦長期化のほか、中東、アフリカ、アジアでイスラム過激派が勢力を拡大させていることなどがある。船で地中海を渡る海ルートに加えて、バルカン半島を縦断する陸ルートの活用が活発化し、その玄関口となるイタリア、ギリシャ、ハンガリーなどで難民受け入れ態勢が機能不全に陥っている。難民の多くは、難民認定に比較的寛容で、受け入れ態勢の整ったドイツを目指しており、ドイツは緊急措置としてハンガリーで足止めされていた難民の受け入れを決断したが、その数は2日で1.5万人を超え、さらに増加する見込みである。


◆難民の窮状を目の当たりにして、EUの難民政策の見直しが急務となっており、9月14日にEU内務相・法相閣僚会議が緊急に開催されることになった。ドイツとフランスは、(1)バルカン諸国などを「安全な出身国」と認定し、これらの国々からの難民申請者を難民認定の対象外とする、(2)難民急増地域(イタリア、ギリシャ、ハンガリーなど)に2015年末までにEUが難民認定手続きセンターを開設する、(3)難民認定者の受け入れはEU各国で公平に分担することなどを共同提案している。


◆ただし、難民の受け入れは総論賛成、各論反対となりやすいテーマである。特に難民受け入れを各国に義務づけるという独仏の提案に対しては、早くも中東欧の4カ国が共同で反対声明を出しており、また英国も慎重姿勢である。共通難民政策の見直し過程においては、EUの分裂が意識されたり、各国のEU懐疑派が勢いづいたりすることが懸念される。

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