サマリー
◆2015年3月5日、欧州中央銀行(ECB)は定例の理事会をキプロスで開催し、注目されていた国債買い入れ型の量的緩和策(以下、QE)の追加詳細を発表した。一方、対象となる政府系機関債、EU機関債の発行体は示されたものの、最終的な個々の買い入れ金額は発表されず、シティでは若干肩透かしにあったとの声も聞かれる。
◆ドラギ総裁はインフレ目標達成への自信を示したものの、インフレ率の見通しだけ見ると2017年に1.8%に留まる見通しであり、前回理事会の議論の中で、あえて達成目標を2016年年末から2016年9月に前倒したものの、今回のプログラムを早期に終了させる見通しではないとも解釈できる。
◆現在ECBは、ギリシャ国債を大量に保有しており、QEを実際に開始できるのは、保有国債が償還される7月以降となる。ただし、ギリシャ側はECBが保有する同国国債のうち7月~8月に満期を迎える計67億ユーロについて償還の延期を示唆しており、その場合、今回のQEによる国債買い入れはできないことになる。
◆域内不均衡を是正する財政出動が期待できない現在のユーロ圏は、今回のギリシャ危機で構造的欠陥が露呈したともいえよう。財政緊縮策を優先するあまり、景気刺激策が後手に回る構造は変わらず、ついに開始されるECBの量的緩和策の効果が、実体経済にどこまで影響を与えるかは未知数ともいえるだろう。
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