サマリー
◆1月25日のギリシャ総選挙では、最大野党のSYRIZA(急進左派連合)が予想以上の大差をつけて第1党に躍進した。ギリシャ内務省の速報によれば、開票率99.8%でSYRIZAの得票率は36.3%となり、300議席中149議席を獲得する見込みである。一方、与党だったND(新民主主義党)の得票率は27.8%と伸び悩み、獲得議席は76議席にとどまる。SYRIZAは緊縮財政政策の放棄や社会的弱者への財政支援を約束することで、5年にわたる緊縮財政政策に疲れたギリシャ国民の支持を得た。
◆次期ギリシャ政権はSYRIZAが中心となって組閣される見通しである。得票率3%以上という基準をクリアした政党のうち、同じく緊縮財政政策反対を表明している中道左派のPotami(川)、あるいは右派の独立ギリシャとの連立の可能性が高いのではないかとみられている。
◆SYRIZA政権にとって最初の課題は、選挙戦で約束した財政緊縮政策からの決別を具体的にどのように実現させるかとなる。同党のTsipras党首はEU/IMFとギリシャの債務削減計画について再交渉すると公約したが、EU/IMF側はギリシャが財政健全化に取り組むことが財政支援の前提条件であるとしている。また、ECBが先週発表した国債買取プログラムでも、ギリシャの国債がその対象になるには財政緊縮策の継続が条件となる。ギリシャの新政権もEUもどちらも交渉決裂は望んでおらず、SYRIZAは選挙公約に比べ「現実路線」に転じると予想されるものの、どこで折り合うかに関する話し合いは紆余曲折を経て、長引くことになろう。
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