サマリー
◆2015年のユーロ圏経済は低空飛行を続け、GDP成長率は2014年の+0.8%(推定値)とほぼ同水準の+0.9%程度にとどまると予想する。原油価格下落とユーロ安が追い風となって、個人消費と輸出の緩やかな回復が続くと予想するが、投資の持ち直しは限定的となろう。2014年年央の景気停滞の主因だったドイツ、フランス、イタリアの3大国のうち、ドイツは個人消費と輸出に支えられて景気の牽引役に復帰してくると予想する。これに対して、フランスとイタリアは遅れている構造改革への取り組みを進める必要があり、景気回復は遅行しよう。
◆ユーロ圏の消費者物価上昇率は2014年の+0.4%(推定値)から2015年は0.0%へさらに低下しよう。ECB(欧州中央銀行)は12月の金融政策理事会で、インフレ期待の低下阻止を目的に「2015年の早い段階で」追加緩和策を発表することを示唆した。次回の1月22日のECB理事会で、資産買取の対象に社債やEU機関が発行する債券などを加えることが発表されるとみている。なお、ユーロ圏各国の国債を資産買取対象とすることに関しては、ECB理事会内の意見対立をある程度収束させ、また具体的な買取方法を決定するためにもうしばらく時間がかかるのではないかと予想する。
◆2015年の英国経済は個人消費が牽引役となった景気回復が継続すると予想されるが、GDP成長率は2014年の+3.0%(推定値)から+2.4%程度の巡航速度へ減速しよう。なお、消費好調な英国だが、消費者物価上昇率はやはり低下傾向にあり、11月は前年比+1.0%に低下した。原油価格急落の影響は12月以降に本格的に反映されると見込まれる。通年の消費者物価上昇率は2014年の+1.5%(推定値)から2015年は+1.0%へ低下しよう。ただ、ここ数か月は賃金上昇率に反転の兆しが出ており、2008年半ば以来久々に物価上昇率を上回ってきている。BOE(英中銀)はインフレ圧力が顕在化していないことを理由に政策金利を据え置いているが、賃金上昇率が継続的に上昇してくれば、2015年末に利上げに転じる可能性が高まろう。
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