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ウクライナ危機により、東(アジア)へ向かうロシアマネー

追加制裁への対策を急ぐロシア金融市場

2014年03月28日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆3月16日、クリミア自治共和国で、ロシアへの編入の是非を問う住民投票が開票され、圧倒的多数で編入が支持される結果となった。直前まで大きく下落していたロシア株式市場では、(住民投票直前の)米露会談の中で西側の明確な制裁内容が提示されなかったことも重なり、週明け以降は大きく株式を買い戻す動きが優勢となった。その後も新たな制裁が発表される間際まで株価が下落し、制裁内容が軽微であることを確認すると上昇するなど、ロシア金融市場は荒れ模様が続いている。


◆ロシア政府は、クリミア編入の前段階から、ロシア国営銀行(ズベルバンクおよびVTBバンク)や大手民間銀行が、西側の金融センターへのアクセスを制限する制裁が発動された場合に備えてコンティンジェンシープランの策定を急いでいた。たとえ本格的な制裁によって西側諸国への金融面でのアクセスが途絶えたとしても、中国(香港)や東南アジア(シンガポール)等へアクセスできれば、リーマン・ショック時のような金融市場での混乱は回避できると想定しており、本格的な制裁に対処できる体制構築を急いでいた。


◆一方で、今回の危機を受けて、かつてロンドングラード(グラードはロシア語で市という意味)と揶揄された、ロシア富裕層からロンドンへの投資も、再度活発になりつつある。3月に入り西側からの本格的な資金凍結などの制裁の前にと、駆け込みで英国(ロンドン)やスイス(ジュネーブ)等の不動産購入を急ぐ動きが影響したようだ。ただし、シティでは、今後、想定される制裁内容(エネルギー、金融、貿易、武器輸出)を織り込み、すでに西側の金融機関は、ロシア金融機関との取引を急激に減少させつつある。大荒れのロシア金融市場も、5月25日のウクライナ大統領選の投票日までは、まだ様々なリスクが顕在化する可能性も否定できない。

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