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侵攻ではないロシアの軍事圧力

ウクライナから独立を希望するクリミア自治共和国

2014年03月06日

ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 菅野 泰夫

サマリー

◆ウクライナ南部のクリミア半島で3月2日、ロシア軍がウクライナ側の武装解除を進め、主要空港を制圧するなど軍事圧力を拡大した。歴史的にクリミア半島はロシア領土の一部であった経緯もあり、ロシアに帰属することが当然との認識を持っているロシア国民が未だに多いといわれる。またクリミア自治共和国は、住民の約6割がロシア系住民といった事情もあり、(国内世論の後押しもあり)自国民保護の名のもとに軍事圧力を行ったことに対するプーチン大統領への支持は高いようだ。


◆欧州首脳や専門家の一部では、今回の軍事圧力を一方的に非難する姿勢を示してはいない。ロシア側が、あくまでも無血を宣言し、自国民保護として人道的な配慮が高かったことをむしろ評価する声明も見受けられる。また欧州各国の各種報道では、侵攻(Invasion)という言葉を断定的に使用していないことへの注意は必要であろう。これは今回の一連のロシア軍の行動を旧ソ連軍のアフガニスタン侵攻と同列には評価していないことが推察される。


◆(米国が計画している)ロシアへの経済制裁は、金融市場に大きな混乱を招くと予想されるため、事実上実施は困難との見方が強い。特にシティでは資金、人材共に大きくロシアに依存している部分もあり、口座凍結などの制裁を行った場合、各金融機関の通常業務が大きく阻害される恐れがある。現段階で英国がその制裁に加担するとは想定しづらく、米国の独り相撲で終わる可能性も高いといえよう。

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