ドイツ総選挙結果における金融市場への影響

金融取引税、ユーロ共同債は推進、銀行同盟はフラット

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2013年09月24日

サマリー

◆2013年9月22日に実施されたドイツ総選挙(連邦議会選挙)では、23日朝の暫定公式結果によると、メルケル首相率いる、キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)が大きく票を伸ばし、メルケル首相の三選がほぼ確定する結果となった。一方、2009年から連立を組んでいた自由民主党(FDP)は得票率が伸びず、戦後初めて獲得議席数がゼロとなった。この結果、CDU/CSUは、FDPとの連立政権を解消し、2009年まで連立を組んでいた社会民主党(SPD)との4年振りとなる大連立政権を樹立する見通しが高い。


◆CDU/CSUとSPDとの大連立政権復活となると、特にFDPとの連立時には否定的であったユーロ共同債への取り組みが注目されることとなる。また、預金保険制度の統一等で財政負担が拡大される銀行同盟に関しては、SPD、メルケル首相ともに慎重な姿勢を見せていたためスタンスに大きな変化が生じる可能性は低い。


◆シティで最も関心が高いのは金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)に関する議論の方向性であろう。欧州委員会が実施時期の延長や税率の引き下げなどを模索していた矢先に、強権的な態度をとるSPDが再度税率の引き上げや早期実施を促す可能性もあり予断を許さない状況ともいえる。現段階で英国はFTTへの参加を見送ったものの、課税域内で発行される有価証券や、域内の金融機関に対して取引を行う際に課税対象となるため、ゲームのルールが大幅に変わることへの懸念が根強い。

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