サマリー
◆2013年9月22日に実施されたドイツ総選挙(連邦議会選挙)では、23日朝の暫定公式結果によると、メルケル首相率いる、キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)が大きく票を伸ばし、メルケル首相の三選がほぼ確定する結果となった。一方、2009年から連立を組んでいた自由民主党(FDP)は得票率が伸びず、戦後初めて獲得議席数がゼロとなった。この結果、CDU/CSUは、FDPとの連立政権を解消し、2009年まで連立を組んでいた社会民主党(SPD)との4年振りとなる大連立政権を樹立する見通しが高い。
◆CDU/CSUとSPDとの大連立政権復活となると、特にFDPとの連立時には否定的であったユーロ共同債への取り組みが注目されることとなる。また、預金保険制度の統一等で財政負担が拡大される銀行同盟に関しては、SPD、メルケル首相ともに慎重な姿勢を見せていたためスタンスに大きな変化が生じる可能性は低い。
◆シティで最も関心が高いのは金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)に関する議論の方向性であろう。欧州委員会が実施時期の延長や税率の引き下げなどを模索していた矢先に、強権的な態度をとるSPDが再度税率の引き上げや早期実施を促す可能性もあり予断を許さない状況ともいえる。現段階で英国はFTTへの参加を見送ったものの、課税域内で発行される有価証券や、域内の金融機関に対して取引を行う際に課税対象となるため、ゲームのルールが大幅に変わることへの懸念が根強い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日