サマリー
◆ユーロ圏の景気回復の鍵を握る輸出はここ半年あまり伸び悩んでいる。しかしながら、景況感は緩やかながら改善を続けており、また、最大の輸出相手国である米国の景気が着実に回復していることから、2013年後半に米国向けの輸出が牽引役となって、ユーロ圏経済もごく緩やかながら回復局面に入ると見ている。
◆ただし、前回、前々回の景気回復局面で大きな存在感を示したエマージング諸国の需要の回復が今回は遅れている。ユーロ圏の景気回復の可否が米国1国の動向に左右されやすくなっているわけだが、そのことが最近1か月あまりのFRB(米連邦制度理事会)のコメントを巡って、世界の金融市場が大きく動揺した中で確認された。ユーロ圏の金利上昇や株価調整は相対的に小幅だったが、景気実体から乖離した金利上昇を抑えるため、ECB(欧州中央銀行)はこれまでの方針を転換し、「政策金利は当面、現行水準かそれ以下で推移する」と金融政策の見通しを公表した。
◆英国でようやく個人消費が主役の景気回復が動き始めた。2013年1-3月期の個人消費の伸びは当初発表の前期比+0.1%から同+0.5%に上方修正され、続く4-6月の小売売上高、自動車販売も好調である。リストラ一巡、金融緩和、物価安定などが貢献しているとみられる。6月の消費者物価は前年比+2.9%へ加速したが、景気回復はまだ始まったばかりである。カーニー新英中銀(BOE)総裁は8月にも金融政策手法の再検討に着手する見通しだが、複数の景気指標を目標値に定め、その動向を見極めながら金融政策を決定するという、最近のFRBの金融政策に近い手法を採用してくるのではないかと予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 利上げ後、状況が一変
原油価格下落で追加利上げは様子見/スターマー首相辞任後の注目点
2026年06月23日
-
欧州経済見通し 家計主導の景況感悪化
製造業では駆け込み需要が下支え/英国では政治不安がリスクに
2026年05月27日
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

