サマリー
◆北アイルランドのロック・アーンで開催されたG8サミットは6月18日、首脳宣言を採択して閉幕した。各国首脳間で、成長・雇用の確保と財政規律のバランス等、世界経済の成長に向けた方策を合意する場となったが、過去のサミットと同様、当たり障りのない議論が終始行われた感は否めない。
◆議長国英国から主要議題として、租税回避(Tax)、貿易促進(Trade)および透明性の向上(Transparency)への取り組みが取り上げられた(いわゆる「3つのT」)。異論は少ないが、金融ハブであるシティを抱え、低税率で外資を呼び込む予定である英国側の主張に、先進国主導と揶揄されるG8サミットの今の姿が現れていたともいえる。
◆強いて目立った議論を取り上げるとすれば、日本のアベノミクスに関する各国への説明と、シリア情勢での早期終結への呼び掛けができたことの2点に留まる。近年、G8サミットでの議論される懸念は多岐にわたるが、各国首脳の決意表明も実現性に乏しく、毎回、消化不良に終わることも多いといえる。決意は誰にでもできる。重要であるのは、いかなる戦略も実行しなければ意味がないということだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
-
7-9月期ユーロ圏GDP 緩やかな成長が継続
フランスの成長ペースが加速し、市場予想からはわずかに上振れ
2025年10月31日
-
欧州経済見通し フランスの政治不安は一服
ただし予断は許されず、予算協議が次の焦点
2025年10月21日

