サマリー
◆2012年10-12月期のGDP成長率はユーロ圏(前期比-0.6%)、英国(同-0.3%)とも予想通りマイナス圏に沈んだ。2012年通年でもユーロ圏が-0.4%、英国は-0.0%とマイナス成長であった。
◆ユーロ圏では11月以降、景況感が改善傾向にあり、特にドイツは1-3月期の成長率がプラスに転じる可能性が高いだろう。背景にあるのは米国と中国の需要改善期待である。ユーロ圏全体でも輸出の緩やかな回復が牽引役となって、年半ばに景気の持ち直しがみ られると予想する。
◆足元のユーロ高は、まだこの輸出回復シナリオの阻害要因とはなっていないと考える。ただ、さらにユーロ高が進行すれば、外需依存度を高めている南欧の財政懸念国により大きな打撃となり、これらの国々の競争力向上を難しくすることが懸念される。ECB(欧州中央銀行)が従来コメントしなかった為替問題に関して、口先介入的な発言を増やしている背景にこの懸念が存在するとみられる。ユーロ高が景気停滞とインフレ率低下の要因になれば、ECBによる追加金融緩和実施の可能性が高まろう。
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