英国首相のスピーチ
EU脱退の現実味を問う
2013年01月31日
サマリー
◆英国のデービッド・キャメロン首相は1月23日のスピーチで、同国のEU残留・脱退を問う国民投票(in-out referendum)の実施を提案した。二者択一というシンプルさゆえに英国民には少なからぬサプライズを与えた。
◆首相自身はEU残留を志向している。そうであればシンプルなin-out referendumは危険な賭けである。EU脱退の可能性を封じる上ではスピーチ自体を回避すべきだったであろう。しかし、英国の政治力学、社会的ムードがそれを許さず、首相はスピーチに追い込まれたのである。
◆失地挽回を目指す政治戦略としてみれば、首相のスピーチは成功であった。しかし、これが英国のEU脱退の可能性を減じさせたとは評価しがたい。EUとの「新たな合意」を結ぶための交渉が難航を極め、英国に多くの妥協を要求するであろうことは、ユーロ圏危機をめぐるEU政治が示唆する通りである。英国民はこれに耐えることができるのだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年05月20日
2022年4月全国消費者物価
携帯電話通信料引き下げの影響が縮小しコアCPIは前年比+2.1%に
-
2022年05月20日
内外経済とマーケットの注目点(2022/5/20)
米国の個人消費は底堅いとみられるが、日米企業の収益環境に要注意
-
2022年05月19日
2022年3月機械受注
大型案件が押し上げも基調は足踏み継続
-
2022年05月19日
ファイアーウォール規制に関する内閣府令等の改正
上場企業等に関する情報共有規制を緩和
-
2022年05月19日
リベンジ旅行に踏み切れない悩みの種
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年01月24日
円安は日本経済にとって「プラス」なのか「マイナス」なのか?
プラスの効果をもたらすが、以前に比べ効果は縮小
-
2022年03月23日
ロシアのウクライナ侵攻で一気に不透明感が増した世界経済
-
2022年02月10日
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の誤算
-
2022年03月17日
FOMC 想定通り、0.25%ptの利上げを決定
ドットチャートは2022-24年にかけて、計10.5回分の利上げを予想