ユーロ圏危機の震源は市場から市民へ
危機をめぐる民意と政治
2012年12月03日
サマリー
◆ユーロ圏危機の収束に向けた光明は、拙速に走らない統合深化の作業などにより、リーダー国ドイツの世論が財政統合やむなしに傾いていることである。一方、フランスは政治が世論に迎合することで、EU、ユーロ圏におけるリーダーシップを喪失しつつあり、それがフランス国民の失望を呼ぶという悪循環に陥っている。フランスはユーロ圏の統合深化に向けた深刻なボトルネックになる可能性がある。更にスペイン、ポルトガルでは景気の悪化が政治と民意の乖離を生み、政治流動化のリスクが一段と高まりつつある。
◆ECBの債券市場介入宣言の市場沈静化効果は健在であり、危機の震源は市場から市民に変わりはしたが、これをもってユーロ圏危機が収束までの距離を縮めていると判断することは難しい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2012年11月19日
年内合意が危ぶまれるEU中期予算案
EUとの関係性に揺れる英国
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年05月25日
利上げで米国は景気後退に陥るか
長期金利の急上昇による株価下落、逆資産効果に要警戒
-
2022年05月25日
インフレ抑制と成長維持の両立の難しさ
-
2022年05月25日
肥大化する業務
その業務は利益に貢献しているのか
-
2022年05月24日
欧州経済見通し まとわりつく負のオーラ
ウクライナ侵攻の長期化によって、不透明さを払拭できず
-
2022年05月25日
「制度」と「執行」の狭間にある闇
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年01月24日
円安は日本経済にとって「プラス」なのか「マイナス」なのか?
プラスの効果をもたらすが、以前に比べ効果は縮小
-
2022年03月23日
ロシアのウクライナ侵攻で一気に不透明感が増した世界経済
-
2022年02月10日
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の誤算
-
2022年03月17日
FOMC 想定通り、0.25%ptの利上げを決定
ドットチャートは2022-24年にかけて、計10.5回分の利上げを予想