ユーロ圏危機の震源は市場から市民へ

危機をめぐる民意と政治

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2012年12月03日

  • 児玉 卓

サマリー

◆ユーロ圏危機の収束に向けた光明は、拙速に走らない統合深化の作業などにより、リーダー国ドイツの世論が財政統合やむなしに傾いていることである。一方、フランスは政治が世論に迎合することで、EU、ユーロ圏におけるリーダーシップを喪失しつつあり、それがフランス国民の失望を呼ぶという悪循環に陥っている。フランスはユーロ圏の統合深化に向けた深刻なボトルネックになる可能性がある。更にスペイン、ポルトガルでは景気の悪化が政治と民意の乖離を生み、政治流動化のリスクが一段と高まりつつある。

◆ECBの債券市場介入宣言の市場沈静化効果は健在であり、危機の震源は市場から市民に変わりはしたが、これをもってユーロ圏危機が収束までの距離を縮めていると判断することは難しい。

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