スウェーデンの社会保障制度に学ぶ

~社会保障制度の持続性こそ成長戦略の基盤~『大和総研調査季報』 2012年新春号(Vol.5)掲載

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2012年04月02日

サマリー

日本では人口高齢化と景気停滞の長期化が国家財政を著しく悪化させており、社会保障と税制度の改革が喫緊の課題である。野田政権は消費税率の引き上げを盛り込んだ「一体改革案」の作成を急いでいるが、国民負担の増大に対する反対意見は根強い。

ところで欧州で高福祉・高負担の代表格であるスウェーデンは、先進国の中で相対的に高い成長率を維持しており、高負担が成長の阻害要因とはなっていない。スウェーデンでも1980年代半ば以降、高齢化に伴う社会保障制度の危機を経験したが、年金制度を筆頭に様々な改革を敢行し、高福祉と経済成長を両立させている。注目されるのは、社会保障制度の持続可能性を一貫して重視し、より良い制度構築を目指して改革の手を緩めないところである。また、スウェーデンの社会保障制度は「効率的な経済発展のために家庭や企業だけでは不足する部分を補うもの」と捉えられているようである。その筆頭が再雇用を支援する積極的労働市場政策だが、年金や子育て支援も同様の考え方が根底にあり、これは日本の社会保障制度の見直しで、ぜひ実践するべき点であると考える。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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