サマリー
ところで欧州で高福祉・高負担の代表格であるスウェーデンは、先進国の中で相対的に高い成長率を維持しており、高負担が成長の阻害要因とはなっていない。スウェーデンでも1980年代半ば以降、高齢化に伴う社会保障制度の危機を経験したが、年金制度を筆頭に様々な改革を敢行し、高福祉と経済成長を両立させている。注目されるのは、社会保障制度の持続可能性を一貫して重視し、より良い制度構築を目指して改革の手を緩めないところである。また、スウェーデンの社会保障制度は「効率的な経済発展のために家庭や企業だけでは不足する部分を補うもの」と捉えられているようである。その筆頭が再雇用を支援する積極的労働市場政策だが、年金や子育て支援も同様の考え方が根底にあり、これは日本の社会保障制度の見直しで、ぜひ実践するべき点であると考える。

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