サマリー
◆2024年2月14日に投開票されたインドネシア大統領選挙では、現国防相のプラボウォ氏が当選したとの見方が大勢である。同氏は、ジョコ現大統領が掲げてきた経済政策を継承すると明言している。
◆インドネシアは、資源依存度の高さを理由に、「フラジャイル5」の一つとされた過去がある。資源依存からの脱却が長年の課題である中、近年、鉱物資源の加工産業を育成し、産業構造を高度化する試みがある。その効果は、ここ数年、インドネシアの投資と輸出構造に変化をもたらしている。
◆ただし、輸出品の多くは、ニッケル鉱石を精練して製造した鉄鋼関連製品等、付加価値がそれほど高くなく、雇用機会の拡大につながりにくい品目がまだ多い。この政策による恩恵を幅広く波及させ、一人当たりGDPの底上げにつなげるためには、より付加価値の高い産業の育成が必要だ。ジョコ現大統領・プラボウォ氏はともに、国産ニッケルを使ったバッテリーの製造やそれを搭載した電気自動車(EV)の国内生産・輸出を目指している。
◆次期政権では、産業構造の高度化に向けたロードマップの作成、外資の取り込みと国内産業保護とのバランスへの配慮、投資環境整備の加速、投資元・輸出先の多様化の4点において、独自色を見せられるかに注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日