サマリー
ASEANがカーボンニュートラルの実現に向けて動き出している。人口の増加や経済成長が著しいASEANで、仮に特段の対策が取られなければ、今後排出される温室効果ガスが大きく増加するためである。また、環境への配慮が投資を呼び込む上で欠かせないテーマであることも、ASEANの脱炭素化を押し進める主要な要因となっている。そのような中、ASEANが直面しているのは、「安価なエネルギーの普及」「経済成長」「脱炭素」の3つを同時に達成することは難しいという「トリレンマ」である。日本政府はこれらの事情を汲んだ上で、ASEANの経済構造・発展段階に考慮したエネルギー支援に力を入れている。これは、「トリレンマ」の妥協点を探るASEANと、急速なエネルギー転換によってサプライチェーンが機能しなくなるようなリスクを避けたい日本側の両者にとってメリットをもたらしやすい。2023 年以降は、支援策や資金調達方法などが具体化される見通しで、日本企業にとって新たなビジネスチャンスとなる可能性もあるだろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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