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資源高を享受しにくいブラジル

輸入物価の急上昇で、しばらく金融引き締めが内需を下押し

2022年06月09日

経済調査部 エコノミスト 増川 智咲

サマリー

◆ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした資源高を背景に、IMFは資源輸出国の2022年成長率予測を上方修正した。しかしその中で、資源国であるブラジルの成長率予測は低く、上方修正も小幅にとどまっている。2000年代の資源ブーム時は、資源高に伴う輸出価格の上昇が交易条件を改善させて高成長につながったが、今回は、資源高が単純な「追い風」とはなりにくいようである。

◆その最大の理由は、輸入物価の大幅上昇を主因とするインフレ高進である。エネルギーや食品、工業製品など幅広い品目の価格上昇に、レアル安が加わっているほか、海外からの輸送コストの上昇も響いている。足元の輸入価格は、輸出価格を上回って上昇し、歴史的な高水準となっている。根強いコストプッシュインフレに対し、ブラジル中央銀行(中銀)は、積極的な利上げでインフレ抑制を図っているが、これが内需の下押し要因となっている。

◆2022年後半の物価上昇スピードは、前年の反動で落ち着く見込みであるが、2023年前半までは、インフレ率は目標の上限(2022年は前年比+5.0%、2023年は同+4.75%)を上回る見込みである。またそれ以降も、エネルギーや穀物価格の上昇、レアル安による輸入物価の上昇といった形で、インフレ率が目標を上振れる可能性を排除できない。2022年後半以降、利上げペースは鈍化するだろうが、中銀の金融引き締め姿勢が内需を下押しする展開はしばらく続くだろう。

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