サマリー
◆2020年のインドネシア経済は、長引く行動制限下で民間消費・投資が大きく落ち込んだ。2021年は、政府がインフラ投資を進めることで、景気を下支えする見込みだ。インフラ投資は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種率が上昇する年後半から徐々に加速する見通しで、雇用の創出、所得の増加、消費への刺激という好循環が生まれるのは、2021年10-12月期以降または2022年にずれ込む可能性も否定できない。
◆マレーシア経済は、米国・中国向け輸出をドライバーとして景気回復を遂げてきたが、2020年10月からの感染急拡大がその重石となった。2021年は、移動制限下でも大半の製造業の活動が認可されていることから、米国の景気加速が期待できる4-6月期以降、輸出と民間投資がけん引役となって徐々に持ち直すと見込まれる。年後半には移動制限が大幅に緩和され、民間消費も回復するだろう。リスクは、年後半に再燃する可能性が高い政治不安である。
◆2020年のフィリピン経済は、通年で感染拡大の収束に苦慮し、行動制限の強化と緩和を繰り返したことで、内需の回復が大きく遅れた。2021年後半には、2022年の大統領選を見据えたインフラ投資が進められる可能性が高いが、感染の収束がそのタイミングに間に合うか不透明だ。
◆2020年のタイ経済は、サービス輸出が最大の落ち込みとなった一方で、政府主導の大規模な景気対策が民間消費を支えた。2021年は、感染再拡大、家計債務問題、ワクチン普及の遅れから、内需の回復は緩やかなものとなる見通しだ。本格的な回復は、2022年になるだろう。
◆2020年のベトナム経済は、内需と外需の両輪が底堅くプラス成長となった。ドライバーとなったのは米国・中国向け輸出と公共投資である。2021年4-6月期には主要貿易相手国向けの輸出が増加する見込みで、経済成長が加速する見通しである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
AI・データセンターブームの恩恵を受けているのはどの国か?
インドネシアを除くASEAN5はブームの恩恵。インドはまだブームに乗り切れず
2026年06月22日
-
中東危機が露呈したASEAN5エネルギー供給構造の差
初期の耐性が高かったのは、マレーシアとタイ
2026年06月04日
-
「中所得国の罠」回避のカギは?
~アジアの前例からベトナムへのインプリケーション~『大和総研調査季報』2026年春季号(Vol.62)掲載
2026年04月24日
最新のレポート・コラム
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
会社法改正の検討事項:現物出資制度をめぐる論点
検査役の調査と不足額填補責任の見直し
2026年06月22日
-
AI・データセンターブームの恩恵を受けているのはどの国か?
インドネシアを除くASEAN5はブームの恩恵。インドはまだブームに乗り切れず
2026年06月22日
-
2026年5月全国消費者物価
エネルギーのマイナス幅縮小も、食料等の非耐久財の伸び率は縮小
2026年06月19日
-
外為法改正の注目点 ~一定のソフトウェア開発企業が審査対象から除外される可能性
2026年06月22日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

