新興国経済ニュースレター(2019年8月)

再度の「金融緩和 vs 米中摩擦」

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2019年08月02日

  • 児玉 卓

サマリー

◆再度世界は米国から金融緩和という飴と対中圧力という鞭を与えられた格好だ。鞭の痛みは警戒しておくべきだが、必ずしも振り下ろされるとは限らない。一方、飴の甘さもいつまでも続くものではないかもしれない。金融市場は米国を起点とした金融緩和の実体的効果を過大評価してきた可能性があり、その反動が世界経済、特に新興国には脅威となり得る。

◆中国が直面するのは製造業の競争力を支える諸条件の悪化であるが、より長期的には、「投資から消費へ」という戦略が破たんしつつあるという側面がある。投資偏重是正のための最低賃金引き上げが、世界の工場の寿命を縮めてしまった。それが現在の政策的ジレンマを深めてもいる。

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