サマリー
◆ミャンマーの内国歳入局は、毎年、企業の法人税と商業税に関する納税ランキングを公表している。納税ランキングは、ミャンマーでどのような企業活動が活発であるかを見る一つの参考となる。ここでは、2015年度の法人税納税ランキングの資料を使って、外資企業と国内企業の納税額比較と国内企業納税上位の企業活動を見てみる。
◆外資企業の法人税納税額上位は、石油・ガス開発関連企業が多く、上位5社の内4社はこの分野の企業である。国内企業の法人税納税上位は、銀行、製造業、建設資材、ガソリン輸入卸などである。1位のKanbawza Bankの納税額は2位以下の企業を圧倒的に凌いでいるが、比較範囲を外資企業まで広げると、外資1位のMoattama Gas Transportationの納税額は、Kanbawza Bankの約7.5倍となっており、外資の圧倒的存在感が目立つ。
◆ミャンマー経済は、軍事政権下にあったことで、軍関係や軍との関係の深い一部の財閥が大きな経済的影響力を持っていると言われてきた。しかし、2015年度の納税ランキング上位の企業を見ると、財閥関係で、明らかに上位にいるのは、KanbawzaグループとUMEHLのみである。
◆財閥以外で好調な業績を残している国内企業の業種は、(1)建設資材、住宅設備関連の卸小売、(2)石油精製品の輸入販売(ガソリンスタンド)、(3)インターネット関連、(4)中国との国境貿易などに関係するものである。
◆2015年度の外資および国内の法人税納税ランキングから見えてくるミャンマー経済の姿は、石油・ガス開発継続、ビール製造好調、建設ラッシュ、輸入日本車を中心とした自動車急増に伴うガソリン需要増、インターネット拡大、活況な中国との国境貿易などである。資本蓄積のベースとなるような製造業が見当たらないのは、ミャンマーの大きな課題である。
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