アジアの高齢者雇用

~韓国とシンガポールを事例に~『大和総研調査季報』 2016年新春号(Vol.21)掲載

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2016年03月01日

サマリー

本稿は、日本と同じ東アジアに属する韓国とシンガポールにおける高齢者雇用の現状や、それに関わる各種制度を紹介するものである。


韓国の事例では、高齢者の労働力率は国際的にも際立つほど高かった。しかし、他の年齢層と比較して、高齢者の多くは経済的理由から単純労働者などとして働くケースが多い。背景には、年金支給額の低さに加え、現役(正規社員)を退く時期が比較的早いために、資産形成が困難であることも指摘できる。このため、韓国政府は60歳までの定年義務化と同時に、一定年齢に達した労働者の賃金を引き下げる賃金ピーク制の導入を推進している。


シンガポールでは近年、高齢者の労働力率は急速に高まっているが、老後の備えが少ない高齢者が清掃員や単純労働者として働かざるを得ないケースが多い点は韓国と共通している。こうした状況の裏には、シンガポール政府が高齢者の自力救済を重視するスタンスを取っていたことが深く関わるが、同国政府は今後、弱者救済的なセーフティーネットの拡充をある程度強化していく方針である。


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