サマリー
◆ASEAN経済共同体の発足は、東アジア地域における経済統合の深化へと波及するものとして期待されている。その代表例が、RCEPである。東アジアにおけるサプライチェーンの拡大により、2国間FTAを超えた包括的な経済統合の必要性が高まっている。特に、日本、中国、韓国、ASEANがつながることで現地調達率の基準を満たしやすくなるメリットは大きい。
◆RCEP主要国における日系現地法人の売上、経常利益、設備投資額は、ともに他の地域を上回る水準である。その中でもASEAN4は、巨大な販売市場としての魅力に加え、加工品や消費財を他のアジア諸国に輸出する、第3市場への生産拠点としての役割を果たしている。
◆ASEANを生産拠点として第3市場へアクセスする方法として、タイを経由したインド市場への参入が挙げられる。インドの自動車産業は発展しているが、国内調達・生産・販売という、比較的閉鎖的な中で育ってきている。その点で、サプライチェーンを駆使して原材料コストを引き下げ、市場開拓を積極的に行ってきたタイとは異なる。
◆RCEP発足で、インド・タイ・日本が同じ経済域として統合されれば、投資環境が未整備であるインドに投資しなくとも、産業が蓄積されたタイの日系現地法人からインドへ部品を輸出するシナリオも考えられる。インドでは、RCEP加入が国内産業界による反発のきっかけとなるだろうが、痛みを覚悟した上で地域のバリューチェーンに組み込まれる方がメリットが大きいとみられる。また、日本企業にとっては中国・韓国との競争の高まりに注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
インド:モディ政権の産業政策は、「質の高い雇用」を生みだせるのか?
量的改善から安定性・生産性・所得を伴う雇用への転換が問われる
2026年07月14日
-
AI・データセンターブームの恩恵を受けているのはどの国か?
インドネシアを除くASEAN5はブームの恩恵。インドはまだブームに乗り切れず
2026年06月22日
-
中東危機が露呈したASEAN5エネルギー供給構造の差
初期の耐性が高かったのは、マレーシアとタイ
2026年06月04日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

