ASEAN NOW (Vol.15)

アセアンへの外国人観光客事情

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2012年08月08日

  • 佐藤 清一郎

サマリー

◆外国人観光客数の増加は、旅行サービス輸出増や消費増を通じて訪問国の経済活動にプラスとなる。2011年、世界の観光収入は、初めて1兆ドルを超えた。観光収入上位国は、1位米国、2位スペイン、3位フランス、4位中国、5位イタリア等となっている。アセアン加盟国では、タイ、マレーシア、シンガポールが10~15位の位置にある。

◆GDPに占める観光収入割合を見ると、観光収入が上位にある欧米や中国に比べて、タイ、マレーシア、シンガポールの方が高く、より観光が重要産業になっている。2008年、アセアンへの外国人観光客数は約6,500万人だったが、2011年には、約1,600万人増加して、約8,100万人となった。増加数が多かった国は、タイ450万人、シンガポール300万人、マレーシア270万人である。

◆アセアン加盟国で観光客数が多いのは、マレーシア、タイ、シンガポール、一方で、それ程多くないのは、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマーである。マレーシアやシンガポールは、観光を戦略産業と位置付け種々の施策を実施しており、その効果が出ているものと思われる。

◆外国人観光客数を域内と域外に分けて見ると、域内からの割合が大きいのは、マレーシア、ラオス、域外からの割合が大きいのは、タイ、ベトナム、フィリピンである。インドネシアとシンガポールは、域内からと域外からがほぼ同じような割合である。アセアン域外からの観光客数は、中国、オーストラリア、韓国、日本等の周辺国を中心に多くなっている。2011年のアセアンへの観光客数の伸びを見ると、増加率が高いのは、中国(前年比+35.1%)、ニュージーランド(同+33.7%)である。

◆タイ、マレーシア、シンガポールを筆頭に、アセアン加盟国のすべてで外国人観光客数が増加方向にあることはアセアンの経済成長にプラスとなるであろう。

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