欧州新興国の人口構成と所得水準、成長力

アジアの経験を踏まえて

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2011年07月12日

  • 児玉 卓

サマリー

◆アジアの経験は、日本に始まり中国、インドに至る成長の連鎖が、人口構成の変化を伴っていたことを示している。平均年齢の上昇が一定地点まで(少子高齢化が始まるまで)生産年齢人口比率の上昇を伴い、その中で、高度成長の機会が生まれる。現時点のアジアの所得水準を順位付けたとき、やはり年齢構成の成熟度に比例していることが確認できる。

◆この経験を当てはめにくいのが中東欧諸国である。中東欧諸国は自由な人口移動や市場メカニズムに応じた産業立地が抑圧されていたために、国によっては所得水準の上昇を伴うことなく老いてしまった。そのような国には、今後のキャッチアップを期待することも難しい。欧州新興国の中での顕著な例外はトルコである。同国は、人口構成の若さを今後の潜在力の重要な手がかりとみなすことができる。

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