サマリー
◆中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)は、2021年11月11日、「党の100年奮闘の重大な成果と歴史的経験に関する決議」を採択して閉幕した。決議の約7割は習近平総書記の時代に関する記述であり、突出した扱いとなっている。この中で13項目の成果が列挙されたが、文字数が最も多かったのは、「党内の全面的な厳正な統治」についてであった。カリスマ性や実績に乏しかったからこそ、その統治のよすがとして、綱紀粛正を断行したのであろう。
◆電力不足問題は大きく改善した。これで問題は解決したと安堵してよいのだろうか。答えは「まだ否」である。発電用石炭在庫の積み増しは、石炭の増産と使用抑制によるものである。後者について、使用が一気に増えれば需給は再び逼迫することになる。さらに、今年の冬はラニーニャ現象による厳冬の可能性が予想されていることもある。総じていえば、最悪期は既に脱したが、一気にゴーサインは出せない、というところであろう。
◆2021年10月(1月~10月)の主要経済統計によると、足元の中国経済は低空飛行が続いている。10月の鉱工業生産は前年同月比3.5%増(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)、小売売上は4.9%増と、伸び率は9月よりも若干加速したが改善は限定的であった。また、1月~10月の固定資産投資は6.1%増と、1月~9月の7.3%増から一段と減速した。中国経済見通しに前回から変更はない。2021年は8.0%程度、2022年は5.4%程度の実質成長を想定している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日