サマリー
◆中国の「灰色のサイ」は不動産バブルである。コロナ禍でも住宅市場への悪影響は短期間で終了し、その後の住宅販売は回復から過熱の様相を呈した。中国政府は昨年12月以降、不動産投資・投機の抑制とこれにかかわる銀行貸出等の抑制に力を入れている。これを受けて投資・投機需要は減退するとの期待が高まり、4月単月の新規住宅着工面積は前年同月比8.1%減(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)と前年割れとなった。ある程度のタイムラグを経て、不動産開発投資も抑制されよう。
◆中国国家統計局によると、2021年1月~4月の固定資産投資は19.9%増、小売売上は29.6%増となり、1月~3月のそれぞれ25.6%増、33.9%増から伸び率は低下した。ただし、これはコロナ禍における中国経済の最悪期であった2020年1月~2月との比較による反動増の影響が縮小したためであり、内需はむしろ加速している。コロナ禍以前の2019年1月~4月との比較では固定資産投資は8.0%増(1月~3月の同比較は6.0%増)、小売売上は7.8%増(同7.6%増)であった。中国経済見通しに変更はなく、2021年は8.8%程度、2022年は6.0%程度の実質成長を遂げよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日