サマリー
中国は新型コロナウイルス感染症の初期段階の抑え込みに失敗したが、2020 年1 月下旬以降、ヒトの移動とヒトとの接触を厳格に制限する措置を講じ、感染拡大をほぼ収束させた。3月以降は経済活動が正常化に向かい、実質GDP成長率は2020 年1月~3月の前年同期比▲ 6.8%から、4月~6月には同3.2%へと一気に回復した。中国の景気は今後も投資主導で回復し、2020 年は前年比2.1%程度、2021 年は同7.1%程度の実質成長が可能であろう。
中国が新型コロナウイルス感染症の収束にほぼ成功し、局所的なクラスターが発生しても効果的につぶすことができているのは、人工知能(AI)やビッグデータを活用した「健康コード」によるところが大きい。健康コードによって政府はその人物に属するほとんどの情報を収集することが可能で、しかも、健康コードは既にほぼ全ての国民が使用している。中国共産党・政府が、ここに新たな統治のツールを見出してもおかしくはない。個人のプライバシーを丸裸にして、徹底的な監視体制を築くことで一党独裁の永続化を狙う。こうした締め付けが経済・社会にどのような影響を与えるのか、注視する必要がある。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日